Case – 10 湿疹

後藤皮膚科背景イメージ

湿疹とは、皮膚の表層に起こる炎症の総称で、「皮膚炎」と同義です。

様々な原因によって生じますが、原因がはっきりしないことも多いです。全身のどこにでもできる可能性があり、皮膚科診療の中で最も頻繁にみられる疾患です。

1: 湿疹とは

様々な外的因子と内的因子が絡み合って互いに影響することで、湿疹を形成すると考えられています。

1-1: 主な症状

湿疹は、炎症の経過の段階によって以下のような多様な症状を呈します。

  • 赤み(紅斑)
  • 細かいぶつぶつ(丘疹)
  • 小さい水ぶくれ(小水疱)
  • 膿をもった水ぶくれ(膿疱)
  • じゅくじゅく(湿潤)
  • かさぶた(結痂)
  • かさぶた・フケが剥がれ落ちる(落屑)
  • 皮膚がゴワゴワになる(苔癬化)
  • 色素沈着

1-2:種類

臨床所見や経過などから、発症後数日しか経過していないような湿疹を急性湿疹、発症してからある程度の期間が経過したような湿疹を慢性湿疹と呼びます。

また湿疹にはその特徴から、手湿疹、皮脂欠乏性湿疹、脂漏性皮膚炎などの名前がついたものもあります。

1-3: 原因・メカニズム

化学物質、真菌、他の何らかのアレルゲンなどの外的因子と発汗状態やアトピー素因などの内的因子が複雑に絡み合って互いに影響した結果、湿疹が生じると考えられていますが、原因がはっきりしないことも多いです。

2: 検査法

視診で湿疹と診断できることも多いですが、他の皮膚疾患の可能性が考えられる場合は皮膚生検などの検査が必要となります。

接触皮膚炎(かぶれ)が疑われる場合、パッチテストが診断に有用となることがあります。

3: 治療法

治療の基本はステロイド外用薬の外用と抗ヒスタミン薬の内服になります。

湿疹はかゆみを伴うことが多いためつい掻いてしまいがちですが、掻いてしまうとさらに悪化するという悪循環に陥り、治るまでより長い時間がかかってしまいます。

お早めに皮膚科を受診し治療を受けることをおすすめします。