Case – 08 乾癬

後藤皮膚科背景イメージ

1:乾癬とは

乾癬は皮膚の表皮細胞の分化・増殖異常を伴う炎症性角化症の一つで、皮膚のターンオーバーが異常に亢進している状態です。
典型的な皮疹は、厚い銀白色の鱗屑を付着する境界明瞭な紅斑です。
乾癬は全身のあらゆる部位に出現しますが、頭皮、肘、膝、腰臀部など外部からの刺激を受けやすい部位に皮疹が生じやすく、また爪病変を伴うことも多いです。

皮疹が軽度であっても関節症状が出現する(関節症性乾癬)場合もあるため、慎重に評価していく必要があります。

2:原因

はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝的素因を背景に環境因子が影響するのではないかと考えられています。
メタボリックシンドローム、糖尿病などの生活習慣病と関連していることもわかってきています。

3:検査

乾癬の診断は特徴的な臨床像で判断できることがありますが、他の疾患との鑑別のために皮膚生検が必要となることもあります。

4:治療法

軽症では外用療法が中心となります。外用療法で改善が乏しい場合や中等症以上の場合は光線療法や全身療法を検討します。

外用療法はステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬、またはこれらの配合薬を用いることが多いです。他には、ナローバンドUVB、エキシマライトによる紫外線療法、内服療法、生物学的製剤を用いた全身療法があります。

内服療法としては、オテズラ(アプレミラスト)、チガソン(エトレチナート)、リウマトレックス(メトトレキサート)、ネオーラル(シクロスポリン)があります。
特にPDE4阻害薬であるオテズラ(アプレミラスト)は下痢や嘔吐などの消化器症状や頭痛が出ることがありますが徐々におさまることが多く、その他の副作用が比較的少ないため、当院でも使用することが多い薬です。

生物学的製剤は現在多くの製剤(注射製剤)があります。開始前に様々な検査が必要であり、検討する場合は高度医療機関へ紹介させていただきます。