Case – 06 円形脱毛症

後藤皮膚科背景イメージ

円形脱毛症とは、突然、円形に脱毛してしまう脱毛症です。
自分の免疫が自分の毛包を攻撃してしまうことで毛が抜けると考えられています。頭髪だけではなく、眉毛や睫毛、体毛などにも起こることがあります。

このページでは、円形脱毛症の症状や原因、治療法について解説します。

1:円形脱毛症とは

1-1:円形脱毛症の症状

円形脱毛症は子供から大人まで幅広い年齢層で発症する可能性があり、痛みや痒みなどの症状はほとんどありません。
脱毛斑が1個のこともあれば(単発型)、複数個できることもあります(多発型)。その他、全頭型、汎発型、蛇行型などに分類されています。
特に単発型の場合は数ヶ月で自然に治ることが多いですが、再発したり、難治の場合もあります。

1-2:円形脱毛症の原因やメカニズム

円形脱毛症は毛包組織に対する自己免疫疾患であると考えられています。
しばしば甲状腺疾患などの自己免疫性疾患を合併することが知られています。
また、円形脱毛症患者の40%以上がアトピー素因を持つと言われ、アトピー素因と深く関連があると考えられています。

2:円形脱毛症の診断

臨床的にあきらかな場合もありますが、トリコスコピー(ダーモスコピーで頭皮と毛を観察すること)で特徴的な所見が認められれば比較的容易に診断がつきます。
他の脱毛症との鑑別・判断が難しい場合には、皮膚組織検査が必要となることがあります。

3:円形脱毛症の治療法

円形脱毛症がはじまってからの期間と脱毛面積によって治療法を決めていきますが、局所治療が基本となることが多く、ステロイドやフロジン外用液(塩化カルプロニウム)の外用療法、ステロイドの局所注射療法などを行います。
脱毛面積が広い場合は、スクアリック酸などによる局所免疫療法(保険適用外)が選択肢にあがります。その他、紫外線療法を行う場合もあります。
また最近、JAK阻害薬が重症の円形脱毛症に対して適用されるようになりました。
※現時点で当院では局所免疫療法は行っていないため、高度医療機関へご紹介させていただくこととなります。

急激に脱毛範囲が拡大する急性期の場合は、ステロイドの内服や、ステロイドの点滴治療(入院して大量のステロイドを短期間に点滴する)が必要となることがあります。
※ステロイドの点滴治療が必要と考えられる場合は、高度医療機関へご紹介させていただきます。

円形脱毛症は精神的なストレスとの関連を含めてはっきりとした原因は不明であり、誰にでも起こる可能性のある病気です。
見た目に影響することもあるため、日常生活に影響が出たり、心理的にダメージを受けられる方もおられると思います。
脱毛症が疑われる際は早めにご相談いただければと思います。