Case – 05 単純ヘルペス(単純疱疹)

後藤皮膚科背景イメージ

単純ヘルペス(単純疱疹)は、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって皮膚や粘膜に小水疱が生じる疾患です。単純ヘルペスウイルスはHSV-1とHSV-2の2型に分類されます。初感染、再感染、再発によって、皮膚や粘膜に水ぶくれやただれが生じます。

1: 単純ヘルペス(単純疱疹)とは

単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされるウイルス感染症です。主に唇や顔に水ぶくれができるイメージがあると思いますが、外陰部(性器)や臀部などにできる場合もあります。

1-1: 症状

単純ヘルペスウイルスによる主な症状は、以下の通りです。下記の症状がある場合、単純ヘルペスである可能性があります。

1-1-1: 口唇ヘルペス

唇の周りやその周囲に、チクチクとした痛みやピリピリとした違和感を感じた後、水ぶくれができます。

水ぶくれは数日で破れ、その後かさぶたになり、1~2週間で治ります。多くがウイルスの再発による症状です。

1-1-2: 性器ヘルペス

性器周辺に水ぶくれやただれ(潰瘍)ができ、痛みを伴います。初感染初発例では重症になることがあります。

その他、ヘルペス性歯肉口内炎やカポジ水痘様発疹症などがあります。

1-2: 種類

単純ヘルペスウイルスには、以下の2種類があります。

  • 単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1):口唇ヘルペスや顔のヘルペスの原因となることが多いウイルスです。
  • 単純ヘルペスウイルス2型 (HSV-2):性器ヘルペスや臀部のヘルペスの原因となることが多いウイルスです。しかし、HSV-1が性器ヘルペスを引き起こすこともあります。

1-3: 原因・メカニズム

単純ヘルペスウイルスは、皮膚や粘膜に侵入し、神経節に潜伏感染するという特徴があります。その後、何らかのきっかけ(疲労、感冒、紫外線曝露など)でウイルスが活性化すると、症状が現れます。

2: 検査法

単純ヘルペスの診断は視診で行うことが多いですが、他の疾患との鑑別が難しい場合などは病変部から抗原検査を行うこともあります。

水ぶくれができる病気には他の疾患もあるため、自己判断せずに診察を受けることをおすすめします。

3: 治療法

ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬の内服薬で治療を行うことが一般的です。症状に応じて外用薬を使用することもあります。

ヘルペスは一旦症状が治まっても、再発する可能性がある疾患です。

発症後はできるだけ早期に治療を開始することで症状が軽くなり、治るまでの期間も短縮できます。

また人にうつしてしまう可能性もあるため、発症したら早めに治療を開始することが望ましいですので、お気軽にご相談ください。