Case – 02 蕁麻疹

後藤皮膚科背景イメージ

蕁麻疹(じんましん)は、一過性で限局性の浮腫を伴う発疹(膨疹)を特徴とする疾患です。多くはかゆみを伴い、全身のどこにでも出現します。数分~1日以内に消えることがほとんどです。長い期間出たり引いたりが続く場合もあります。

1: 蕁麻疹とは

1-1: 蕁麻疹の種類、病型

蕁麻疹はいくつかの病型に分類されています。

  • 特発性の蕁麻疹:明らかな誘因なく出現する蕁麻疹であり、蕁麻疹患者の約7割はこちらに該当すると言われています。発症してからの期間によって急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹に分類され、6週間以内のものを急性蕁麻疹、6週間を越えたものを慢性蕁麻疹と呼びます。急性蕁麻疹は細菌・ウイルス感染などを背景に生じることもあります。
  • 刺激誘発型の蕁麻疹:特定の刺激、条件が加わると誘発される蕁麻疹です。アレルギー性、非アレルギー性、物理的刺激によるものなどがあります。入浴や運動による発汗刺激で誘発されるコリン性蕁麻疹や、特定の食べ物を摂取した後に運動負荷が加わることで生じる食物依存性運動誘発アナフィラキシーもあります。
  • 血管性浮腫:皮膚や粘膜の深い部位の限局性浮腫です。口唇や眼瞼に生じることが多いです。蕁麻疹に合併して生じたり、単独で生じることもあります。

1-2: 蕁麻疹の症状

膨疹の形や大きさは様々ですが、多くは痒みを伴います。数時間~1日以内に消退するのが基本です。腹痛や気道閉塞感などの症状を伴うこともあります。

1-3: 蕁麻疹の原因

食べ物や薬剤のアレルギー症状として出たり、感染症をきっかけに出ることもありますが、原因が特定できないことのほうが多いです。まれに自己免疫疾患が背景にあり難治性の蕁麻疹の原因になっていることもあります。

2: 蕁麻疹の検査

視診と問診で診断します。アレルギー性蕁麻疹が疑われる場合は、血液検査で疑われる原因抗原の特異的IgE抗体を測定することもありますが、検査で過敏性が示された抗原が蕁麻疹の原因であるとは限りません。
(※当院ではプリックテストは行っておりません。)

3: 蕁麻疹の治療

第二世代の抗ヒスタミン薬の内服による治療を行います。治療効果が不十分な場合は、抗ヒスタミン薬の種類を変更したり、H2受容体拮抗薬などの併用を検討します。刺激誘発型の蕁麻疹の場合は、原因を避けることが重要になります。

蕁麻疹の症状の強さや頻繁な発症によって生活に支障をきたす方もおられます。
お悩みの方はお気軽に当院にご相談ください。