Case – 01 アトピー性皮膚炎

後藤皮膚科背景イメージ

1: アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が悪化・改善を繰り返す疾患です。
①痒み、②特徴的皮疹と分布、③慢性・反復性の経過(慢性の経過とは、乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上)の3つの項目を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断します。 乳幼児期に発症して小児期に治ることが多いですが、成人期まで続いたり、成人になってから発症することもあります。

2: 原因

アトピー性皮膚炎の原因や悪化要因は多岐にわたり、様々な要因が絡み合っていることが多いです。
また、患者の多くはアトピー素因を持つとされています。アトピー素因とは、1)気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、 アトピー性皮膚炎のうちのいずれかあるいは複数の疾患の家族歴・既往歴がある、2)アレルギーに関係するIgE抗体を産生しやすい体質であることです。

3: 検査

アトピー性皮膚炎の状態の把握や悪化要因の検索として、血液検査(総IgE値や特異的IgE抗体値の測定など)、パッチテストを行うことがあります。

1: 治療法

治療の基本になるのは薬物療法、スキンケア、原因・悪化要因の除去です。薬物療法は、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏(タクロリムス)、 コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)、モイゼルト軟膏(ジファミラスト)などによる外用治療が中心となります。外用治療は、適切な外用薬を適切な量・塗り方で塗ることが重要です。
他に、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬の内服治療をおこなったり、局所的な病変に対してはエキシマライトによる紫外線治療、 また症状のコントロールが難しい場合には免疫抑制薬の内服治療や生物学的製剤のデュピクセント(デュピルマブ)皮下注射による治療を行うこともあります。
保湿剤によるスキンケアは皮膚バリア機能の改善・維持に大切となります。